黒糖と私

ある1匹の猫との出会い

お別れ(9)

先生に黒糖の死期は近いと知らされてから

1ヶ月程が経った頃

急にトイレに閉じこもり

うぅ、と辛そうに声を出し始めました。

今までに、聞いた事の無い鳴き声でした。

辛そうな黒糖を抱え急いで病院へ。


色々処置をしてもらいましたが

こくちゃんの体力は限界です。

もう、そろそろお別れの準備を

された方が良いよと言われました。


またまた、先生、

そんな事を言って…。

全く現実を受け入れない私。


自宅に帰り少し元気になった黒糖。

今元気だもん、大丈夫だよ、

なによ、こくちゃんはこれからも

ずっと私と一緒だよ、ね?

そう言いながら涙が自然とこぼれていました。


翌朝黒糖は相変わらず

私の頭の上でスヤスヤと寝ていました。

今日も生きてる、大丈夫。


朝ごはんを食べ終えた黒糖に

お薬を飲ませようと

いつものようにしていたら

初めて噛まれました。

怖い顔をして。


その日私は仕事に行きました。

いつもお迎えをしてくれる黒糖。

あれ、来ない?寝てるのかな?


こくちゃん発見……

アレ?

床には倒れている黒糖。

周りに散らばる牧草。


コクちゃんは息を引き取っていました。


現実を受け入れられない。


コク?どうしたの?

息をしていません。


パニックになり母に電話。

そっか、コクちゃんよく頑張ったね。

そう言われ

あ、亡くなったんだと実感しました。


黒糖の周りには沢山の牧草が

黒糖とザラメは仲良しなので

ケージは解放していました。

辛そうにしている黒糖に

ザラメは自分の食べる牧草をプレゼント

したのかもしれません。


とりあえずどうしたらいいんだ、

分からない。


仲の良いパート先生に

こくちゃんが、こくちゃんが…

泣きながら電話をすると

電話は切れてしまいました。

10分後氷枕を持ったパートの先輩が

駆けつけてくれました。


もう1人の先輩もお花を持って来て下さいました。


大丈夫かい?1人だと不安だったでしょ?

とりあえずこくちゃんをこのままには 出来ないから火葬場に連絡しようか。

2人の先輩に助けられながら

火葬場に連絡。

ご主人が帰られましたらお越しくださいと。


色々お手伝いしてもらい

何かあったらまた電話しなさい

すぐに来るから。

そう言って2人は帰っていきました。


主人に状況を伝え

早めに帰ってきてもらい

火葬場に行きました。


この時が初めて

令和を書いた日でした。

令和元年5月16日

黒糖は虹の橋に行きました。


火葬を終えると

骨になった黒糖。

一つ一つ丁寧に説明をして頂き

自宅に連れて帰りました。



1年と1ヶ月

これが黒糖と過ごした期間でした。

もっと何かしてあげれたので無いか、

沢山の後悔と楽しかった思い出

作りかけのエリザベスカラー

新しく届いたお洋服

あ、あ、寂しい。


猫にとても詳しい親友に

こくちゃんの事を伝えると

こくちゃんはね、

最後に誰かに愛されたくて

あなた達夫婦の所に来たんだよ。

外の世界では1年も生きれなかったかもしれない。

命を助けてくれてありがとう。

こくちゃんは幸せだったよ。


そう言ってくれました。


ペット達はね亡くなると

虹の橋に行くの

そこでは病気も無く食べ物にも困らず

楽しく過ごしているの

でも飼い主が涙を流すと

雨が降るの。

その虹の橋で飼い主が来てくれるのを

楽しく待ってるよ。

また会えるから、大丈夫だよ。


そんなお話もしてくれました。


黒糖の為にプレゼントをくれた人達

沢山遊んでくれた人達

可愛いねと言ってくれた人達

急いで駆けつけてくれた人達

亡くなった後も

こうして黒糖を知ってくれた人達

沢山の人に愛され

助けられました。


ありがとうございました。



〜黒糖との出会いからお別れまで〜

完結です。


こうして書いてるだけで涙が出ちゃいますね。

最後まで読んでくださりありがとうございました。